山下レディースクリニック
チョコレート膿腫の治療について
2009年10月4日
はじめまして。
他の専門病院で治療中なのですが、知人より山下先生のお話を伺いご相談をさせていただきます。
私は33歳。結婚し8年、本格的に不妊治療を始めて5年目になります。左卵管狭窄・両側チョコレート膿腫があり、現在は顕微受精で治療を進めています。ショート・ロング・アンタゴニスト・・・色々と方法も変更してきましたが、どの方法を試みても採卵数が1〜3個。採卵できてもなかみが空だったり未成熟卵だったりすることが多いのです。また、採卵後の卵巣の腫れもみられやすいため、胚盤胞で一旦凍結し移植していますが、受精卵が出来ても4〜6日ごろで分割がとまり胚盤胞までたどり着くのもなかなかというのが現状です。
知人もチョコレート膿腫があり長年不妊治療をしていましたが、膿腫の治療をすることでそのあと4人の子宝に恵まれています。
膿腫の治療について担当医にも相談はしましたが、サイズがまだ小さいしデメリットもあるためその段階ではないとのことです。その説明に納得しているのですが、なかなかうまく治療も進まないため、膿腫の治療は本当にまだ先で良いのだろうかという思いがぬぐいきれません。
どのようにお考えになりますでしょうか?
なるほど、お話、よくわかりました。
採卵時にチョコレート嚢胞を貫かなければ、採卵ができないようであれば、卵子の質を大きく落とす懸念がありますので、核出術を行ったほうがいいと考えます。ただ、現在は、刺激周期で3個採卵できることもあり、胚盤胞になるケースもあるのであれば、このまま妊娠を急がれたほうがいいかも知れませんね。
ご友人は、核出術後、見事妊娠されているとのことですが、卵巣実質にまったくダメージがない訳ではなく、術後、卵巣の反応が大きく落ちてしまわれる方がいるのも事実です。月経時期の痛みが耐えられないということでなければ、このまま治療を優先されることをおすすめしたいと思います。
むしろ刺激周期でうまく反応が得られないのであれば、クロミフェン製剤と少量のhMGを使った準刺激周期を試されてみてもいいかも知れませんね。
なお、凍結融解胚盤胞移植は、卵巣の腫れの問題を除外しても、妊娠を目指されるうえで、もっとも確率の高い方法だと思いますよ。
<ご注意>
この相談事例集は、あくまでも参考にとどめ、実際に何らかの行動をとる場合には、
必ず医師の診察を受けて下さい。
なお、この相談事例集により万が一不都合、不利益を被った場合でも、
回答医または山下レディースクリニックのいずれもその責を負わないものとします。
先生にお世話になった当初は、いつまで続くかわからない治療に落ち込むこともありましたが、いつも変わらず新(?)切にしていただき、ほっとした事が何度もありました。今は感謝あるのみです。ありがとうございました!
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