山下レディースクリニック
無精子症と精索静脈瘤
2010年6月19日
山下先生、はじめまして。
先日、夫(30歳)が初めて精液検査を受けたところ無精子でした。2回目の検査でも無精子で、射精後の尿中にも精子はいませんでした。ホルモンは現在検査中です。
夫は数年前から左睾丸の重い感じや違和感を自覚しており、今回の診察で左側精索静脈瘤(Grade3)と診断されました。睾丸の容量は10mlでやや小さめとのことでした。
他の気になる症状として、射精時に痛みが時々あったり、射精後に尿が出づらいこともあるそうです。
現在通院しているクリニックでは、無精子症だと自然妊娠は無理と言われ、顕微授精を前提とした精巣内精子回収法を勧められました。
顕微授精しか方法がないと言われて、ショックで現実を受け入れられないでいます。
私も夫もできることなら自然妊娠がしたくて、どうにかして精子が出現する方法はないかと悩んでいます。
いろいろな本を読むと、乏精子症の場合は精索静脈瘤の手術をすることで精子濃度や運動率が改善することがあると書いてありましたが、夫のように無精子だと精索静脈瘤の手術をしても精子の出現は見込めないのでしょうか。
もし静脈瘤の手術をした場合、何カ月も経過を追わないと精子が出現するかどうかは分からないと思いますが、それでも精子が出現する可能性があるなら静脈瘤の手術をしたほうが良いのではないかと思っています。
先生の見解を教えていただけませんか。
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
はじめての精液検査で無精子症が見つかったとのこと。ご夫婦ともに、そのショックは測り知れないものだったことでしょう。それでも、自然妊娠を切望されるお二人の気持ち、充分、理解できます。
ただ、無精子症という重度の男性不妊の場合、精索静脈瘤のオペによって、自然妊娠が可能なレベルまで精液所見が改善する可能性はないといわざるを得ません。
無精子症には、精路障害による閉塞性無精子症と、造精機能そのものに問題がある非閉塞性無精子症がありますが、後者の場合には、睾丸内にも精子が見当たらないケースもあります。もちろん精子が1個でも見つかれば妊娠への望みはありますので、どうしても赤ちゃんが欲しいということであれば、やはり精巣内精子を回収して顕微授精を受けてみることをおすすめしたいと思います。
<ご注意>
この相談事例集は、あくまでも参考にとどめ、実際に何らかの行動をとる場合には、
必ず医師の診察を受けて下さい。
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なかなか妊娠できなくて辛い思いをしましたが、こちらでお世話になって2回目のAIHで妊娠できました。山下先生とスタッフの方々に温かく見守って頂いたおかげだと思います。皆様も希望を失わず、妊娠できることを信じてベストを尽くして下さい。
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